「投資信託はこの9本から選びなさい」へのツッコミ。もう少し大事なことがあるでしょう
NISAを活用したいなと思い投資信託を調査中。
そこで、次の本を読んでいた。
ただ、正しいことも言っているのだけれど、これはちょっとという内容もある。
順番に説明していこう。
今回読んでいたのは次の本だ。
中野晴啓「30代でも定年後でもほったらかしで3000万円! 投資信託はこうして買いなさい」ダイヤモンド社
どうやら、著者の中野晴啓は「積立王子」と呼ばれているらしい。
中野はセゾン投信の社長。
もっともセゾンは米国のバンガードとJVを作ってインデックスファンドを扱っている。
バンガードといえば、今やフィデリティよりも大きくなってしまった運用会社。
インフレが進むなか、現預金のみで資産を保有していたら、資産価格は恐らく目減りしていく一方
たしかに、インフレになっても金利が上がらななかったらそうでしょうね。
でも、その前提を長期投資をうたう人が言ってはおかしい。
そうした有事の状況を平時ととらえること自体が危険。
自分の都合の良いように言っているだけ。
JGBが低金利でいるのも日銀がしこしこ買っているから。
金融システム全体の中で考えるべきでしょう。言い過ぎ。
中野氏のロジックで選ばれた投信が9本ある。
確かに、長期投資に適した投資信託の6つの条件
はいずれも、重要。
そこで、出てきた投信が9本ある。
ここで固有の運用会社の名前を出すのもいまいちなので、ポイントだけ示しておく。
まずセゾン投信が2本入っているのは大目に見るとして、どの投信も純資産が小さい。
一番小さなファンドは、15億。大きいのは740億円。
運用会社で、15億円のファンドっていえば、痛い存在です。
これは次のようなことです。
運用会社は、預かった資産の内、信託報酬をもらいます。それが収入となります。
たとえば、100億円のファンドで信託報酬が1%だと、収入1億円。
運用会社は、運用者、バック・ミドルオフィス、コンプライアンス等の経費がかかります。
ファンドの継続性の評価がされていない。
無期限なのはいいんだけれでも、そもそもですよ。
2番目。
この本では、バランス型ファンドを入れているけど、その基準って?
正直、株と債券のアセットアロケーションをうまくやり続けられる人なんて皆無。
そんな天才、運用会社にはいません。
そのコンセプトを個人投資家に投資信託としているというのはどうでしょうか。
それにしても、いまや日本に投資信託は5000本以上もあるのか。
どれ買ったらわからんなぁというのが本音。
誰かキュレーションしてくれないかなぁ。