歴史小説
吉村昭氏の戦艦武蔵 (新潮文庫) は以前読んで、 頭の栄養になる珍しい小説 と感じた。 その理由が、戦艦武蔵ノート (岩波現代文庫) を読んで理解できた。 吉村昭氏の取材のレベルが半端ないのである。 この取材記録は単なる記録ではない。 これ自体が戦艦武…
生きて帰ってくることが前提とされていない作戦。 それは作戦とよべるものではない自殺行為だ。 太平洋戦争時には、国のために特攻が作戦と認められた中で、「決して死にたくない」という零戦パイロット宮部久蔵を主人公に展開される小説だ。 軍人でありなが…
いや、毎度ながら山本兼一氏の歴史を題材にした文章には惹かれる。 利休について、関係者ごとに書いていく。 また、時系列というわけではない。 珍しい書き方。 利休は、もともとは商売人であって、はじめから茶道家だったわけではない。 まあ、今の千家も、…
福澤諭吉(正式にはふくさわとよむ)、いまだに過小評価されていると思う。 また、誤解もされているともおもう。 慶應義塾の最大の問題点は、福澤諭吉以上の人物を輩出していないことである。 福澤が経営者としても哲学者としてもあまりにもずば抜けているか…
綿密な取材のうえでの、小説は美しい。 小説はドキュメンタリーとは違うといっても、ドキュメンタリーが過去のことを振り返るのであれば想像を全く使わないということはありえない。事実と思われることと他の事実と思われることの接続には創造が必要だからで…